看護師をしていると、結構な割合で「便秘」に出くわします((+_+)) 慣れてしまえば、どうってことありませんが、慣れないうちは、便秘薬ひとつ選ぶのにも迷いますよね。指示簿に書いてあるんだけど、それを自分の判断で与薬するのって何となく怖いですよね(;´∀`) 私は、新人の頃、私の判断で、この患者さんの便秘人生に手を入れるんだ!的な感じでドキドキしたのを覚えています( *´艸`)
今回は、便秘薬の効果発現時間や、便秘の状態に合わせた便秘薬の選び方についてお伝えします。
どんな便秘かをアセスメントしておく
まず、はじめに、患者さんの便秘についてのアセスメントをしておきましょう。
ここでは、簡易的に書いてあります。
詳しくは、便秘の看護 観察ポイント アセスメントより対策立案!!( *´艸`)良ければ参考にしてください。
⓵腸蠕動音の確認をして弱い場合
腸蠕動が弱いために排便されない状態
⇒腸蠕動を促すような薬剤を考える
※ただし、「腸蠕動音がない」「腹痛を伴う」「腹壁の緊張がある」等、消化器症状がある場合は、急性腹症等の可能性もあります。すぐに先輩看護師に報告して、主治医に報告するべきか相談してください。
⓶腸蠕動音には異常がない場合
1)普段から便が硬く、たまに排便がある便秘
⇒腸の中の水分を多くするような薬剤を考える
⓷便秘と下痢を繰り返している
⇒腸内細菌を整えるような薬剤を考える
よく使用される便秘薬 作用や作用発現時間 患者さんへの説明
便 が硬い便秘へ
浸透圧性下剤:マグミット、酸化マグネシウム、カマグ等
【作用】
大腸は水分を吸収する部位です。マグネシウム剤は、大腸に水分が吸収されるのを防ぎます。浸透圧作用で、腸管から水分を吸収、保留して、便を軟らかくします。また、内容物が増えることで腸への刺激となり蠕動を軽く促進します。つまり、便が軟らかくなり、腸蠕動を促すことで、便通が良くなります。
常習性は少ないです。
【作用発現時間】
腸蠕動を促進することが目的の薬剤ではないため、効果発現時間は個々で異なります。大体8~12時間程度です。
【服用する時間】
いつでも!というと大袈裟ですが、朝食後、昼食後、夕食後と3回服用する方もいれば、朝、夕のみ。朝のみ。寝る前のみ。といった患者さんもいます。便の性状を確認しながら、微調整しやすい薬剤です。
【注意点】
この薬剤にはマグネシウムが含まれています。
禁忌
・高マグネシウム血症がある患者
・腎不全がある患者
慎重投与
・腎機能障害がある患者
・心機能障害がある患者
となります。
【患者さんへの説明】
「便が硬いので、便を軟らかくして出しやすくします。お腹の動きを強くするわけではないでの、お腹の痛みはほとんどありません。また、詰まっている便が出たあとは、(下行結腸やS状結腸)便が軟らかくなりすぎることがあります。その時は、薬の量を調整して対応します。」的な感じで説明しましょう。アレルギー等の説明は、今までの病院ではしませんでした。アレルギーが多い方には、説明するべきだと思います。また、大きな病院では、薬剤師が説明する事もあります。
私も、たまにマグミットを飲みます。便が軟らかくなるのでスルリ!と出ます。なかなか良い薬だと思います。
【便秘以外の適応】
マグミットは、出血傾向がある患者さんや、血液サラサラ系を服用している患者に内服してもらう事が多いです。排便時の努責で、身体のいろいろな部位(特に脳と肛門)の出血が起こることを防ぐためです。やや軟らかめを目標とします。これも、覚えておくと、今後のために役立ちますね(#^.^#)
排便力(いきむ力)がない便秘へ
大腸刺激性下剤:センノシド、アローゼン、アジャスト、ヨーデル、ピコスルファート(ラキソベロン)、
【作用】
大腸の蠕動運動を促して排便効果を狙います。蠕動運動を促すので、腹痛が起こることがあります。先に述べたマグミット等より効果がしっかりとあります。
【効果発現時間】
内服して8~12時間程度です。私の経験上9~15時間程度に排便がある患者さんが多いような印象があります。
【服用する時間】
効果発現に8~12時間かかるので、寝る前に服用すると、お昼の時間帯に排便することが出来ます。朝なら、ギリギリ夜までに出るかも!と思うかもしれませんが、そう簡単にはいかないのが世の中です。夜中に何度も排便したり、便意をもよおして転倒したり、排便に伴う血圧低下など起こ患者さんにも夜勤の看護師も辛いものがあります。以前に飲んだことがある場合は、患者さんの方が自分のパターンを知っているので、この限りではありません。
【注意点】
禁忌
・腸閉塞や腸狭窄がある患者
・急性腹症が疑われる患者(腹痛がある患者)
慎重投与
・低カリウム血症
下痢をするとさらにKの低下が考えられる
【患者さんへの説明】
「お腹の動きを良くして、排便する力を強くする薬です。効果が強すぎると、お腹が痛くなることがありますが、便が出れば痛みは和らぐと思います。大体の方は、お腹が痛くなることはありません。」といった感じです。以前に服用したことがあれば、その時の状況を聞いて薬剤の量を検討されると良いですね。
ちなみにアローゼン1g≒センノシド1錠≒ピコスルファート6滴だそうです。
また、ピコスルファートは、他の大腸刺激薬に比べ、耐性が低いそうです。とはいっても、耐性があります。耐性とは、効きにくくなるって事ですね(#^.^#)
これらの薬は、常用せずに、屯用で使用するようにしましょう。大腸刺激薬で、排便を促した後は、前述したマグミット等で便を軟らかくして出しやすい状態を作ってあげるのも方法です。その方が、身体に優しいですね。また、後述する整腸剤を服用する場合もあります。
腸内細菌により便性を整える
整腸剤
【作用】
毎日出ているけど、残便感がある!すっきりしない!という場合は、腸内細菌バランスが崩れている事がありますので、その場合は、整腸剤が効果的なことがあります。
【作用発現時間】
ただし、整腸剤は、即効性がありません。早くて、翌日くらいに、効果あったかも!といった感じです。
また、整腸剤は屯用薬ではなく飲み続けて効果を現す薬です。医師に相談して処方してもらうことになります。そのため、まずは、排便を促す薬剤を使ってから(うんちが出てから)整腸剤を開始する場合もあります。
また、整腸剤ではありませんが、ヤクルトを飲んで改善したという患者さんもいます。今はしていないと思いますが、今から10年以上前、大腸関連の患者さんにヤクルトを食事で提供して腸内細菌を整えるといった治療的なものをしていた時期がありました。ヤクルト信仰派の私は、ヤクルトで免疫力をあげよう(*’ω’*)!と思ってほぼ毎日飲んでいます( *´艸`) 最近の経験として、便性に不服のあるちょっと癖のある患者さんにいろいろな整腸剤を試してもダメだったので、食事でヤクルトを提供したところ、「良くなったよ。ありがとう(#^.^#)」と言われました。
内服薬で効果が得られない場合
この場合、摘便したり、坐薬や浣腸を使用することが多いです。
1週間出ていない!って時や、患者さんに「もうダメだ。今すぐ出してくれ」と言われた時にも、便秘薬を使うより先に、、摘便したり、坐薬や浣腸をすることがあります。便秘の看護 レシカルボンとテレミンソフトの違い 作用、副作用、特徴と使用時の注意点
最後に
便秘の原因は様々です。対応策は1つだけではありません。薬剤だけの対応だけでなく、根本的原因の解決を考えることも大事です。
便秘をそのままにしておくと、不快感のみならず食欲不振や吐き気などの症状が出ることもあります。腸内バランスの重要性を説く研究も沢山なされています。一緒に便秘を考え解消されると、患者さんからの信頼関係が築けることもあります(#^.^#) 頑張りましょう!!
コメント