便秘時の処置や手術前の前処置としてグリセリン浣腸があります。排便を促す坐薬より作用が強いことや、グリセリン浣腸に伴う腸穿孔などの合併症を伴うこともあるため、手順通りの使用とその後のケアが重要となります。ここでは、グリセリン浣腸についての作用や副作用、施行時の注意点についてまとめてみました。
グリセリン浣腸 作用と副作用
作用
直腸粘膜を刺激して、排便を促します。
副作用
・アレルギー
・腹痛、肛門付近違和感、残便感等の不快感
・血圧低下
グリセリン浣腸 坐薬と比較しての特徴
即効性があり、坐薬(レシカルボンやテレミンソフト等)よりも効果が強い事が特徴です。坐薬は、当然副作用も坐薬より強くまります。20年以上看護師をしていますが、私自身は重篤な副作用に遭遇した事はありません。ただ、病棟内で排便ショックと呼ばれる血圧低下を起こしたり、トイレに行こうとして転倒した。といった事例をみた事はあります。怖いですよね(ノД`)・゜・。
また、坐薬挿入時には腸穿孔が起こることは、ほぼありませんが、グリセリン浣腸の場合は、穿孔を起こしてしまう可能性があります。
グリセリン浣腸 作用発現時間
3~10分程度です。
実際、薬を注入後すぐに排便したくなる方が、私の経験上、約半数近くいます。出来れば、5分程度我慢していただいた方が、しっかりと排便しきれます。早いと浣腸液がダーッと出てくることがあります。特に肛門括約筋が弱い高齢者には、コクな処置だと私は思っています(;´∀`)注入しながら出てくる強者もいましたよ(#^.^#)
グリセリン浣腸 禁忌と慎重投与
禁忌
・急性腹症の患者
・腸閉塞
慎重投与
・肛門や直腸に創がある患者
・高齢者
・重篤な心疾患がある患者
(心負荷がかかり悪化することがある)
・低カリウム患者
(下痢することでさらに進行する)
グリセリン浣腸 患者さんへの説明
はじめに、以前に使用したことがある方は、アレルギーや気分不快等なかったか確認しておきましょう。もし、以前にそういう事があった場合は、その時の体調や病状について聞いてから先輩看護師に相談しましょう。処置が中止になる場合もあります。
説明の例文
「腸の粘膜を刺激して、排便を促すお薬です。排便時に、お腹が痛くなることがありますが、便が出てしまえば良くなることが多いです。入れたら排便したくなると思いますが、出来たら5分程度は我慢してください。でも、冷や汗が出るほど我慢する必要はありません。我慢しすぎると血圧が下がってしまうことがあります。いつもの排便と同じくらい行きたい!と思ったら行くようにしてください。我慢でききないで、すぐに出してもらっても大丈夫です。」
グリセリン浣腸 挿入前の環境を整える
浣腸すると、すぐに排便に行きたくなります。
グリセリン浣腸 挿入時の手順と注意点
挿入前の確認
・血圧と脈拍の確認
排便による血圧低下をきたすことがあります。
その場合に、「元々の血圧はどうだったの?」となります。確認せずに浣腸したとあっては、問題になってしまいます。
逆に高すぎる血圧の場合も注意が必要です!!
排便時は、通常はいきむことで血圧上昇するからです。
・「腹壁の緊張がないかどうか」「禁忌症例でないかどうか」再度確認しましょう。
・腹痛や腹壁の緊張がある場合、急性腹症の場合があり、禁忌症例となります。
先生の指示だとしても、免許を持った看護師が施行した場合、何かあったら、責任は実施した看護師となります。自分が実施する行為に責任を持つため確認して記録に残す癖をつけておきましょう(#^.^#)そうしておけば、何かあっても、「私は安全を確認しました!」言い換えれば、「私には、責任はありません」という事になります。
・直腸付近に硬便がないかどうかの確認を指を入れて確認する(と、手順書に書いてある場合もあります)
これは、硬便があることでカテーテルの先が、直腸粘膜に触れやすくなり腸管損傷を起こす可能性があるからです。が、実際、私はしていません。肛門に指を入れた後、浣腸されるって(;´∀`)なんか、嫌かなーと思います。もし、硬いものに触れた場合には、下記の処置を取ります。
挿入時の体位
必ず左側臥位で行います。世の中では、立位で実施して直腸穿孔した事例があります。
これは、立位と左側臥位での腸の状態です。
立位や右側臥位で実施する腹圧や重力によって、直腸損傷をする可能性があります。
挿入時の注意点
・カテーテルにキシロカインエリーをつけるのは、やめましょう。
キシロカインによりショックを起こすことがあります。
・カテーテルの挿入の長さを確認しておきましょう。
成人は5~6cm、小児は3~4cmです。
ストッパーの位置を合わせられるものは、合わせましょう。
挿入が深くなると、腸管損傷を起こします。
・カテーテル挿入中に硬いものに触れたり、入りづらい場合は、少し引き抜いて、再度ゆっくりと挿入します。もし、それでも入りづらい時には、一度抜いて、腸管の状態を確認しましょう。便が詰まっている時には、摘便をしてみましょう。
無理やり挿入すると、カテーテルの先は腸管壁に当たり腸管損傷を起こしてしまう場合があります。
・カテーテル挿入時は、カテーテルの入れすぎに注意しましょう。ストッパーが腸内に残った事例もあるそうです。
((+_+))マジすか?って感じはしますが、世の中では起こっている事故です。気をつけましょう。
抜いた後は、ちゃんとストッパーがあるな!というのを確認しましょう。
後は、羞恥心や室温などに配慮して処置を行いましょう(#^.^#)
最後に
グリセリン浣腸は、効果が強いこととカテーテルによる腸管穿孔などの事例もあることから、特に注意して行う看護処置になります。最初は、怖い!!と思うかもしれませんが、最初にしっかり理解しておけば大丈夫(#^.^#) ちょちょいのちょい!!って出来るようになりますよ!!頑張りましょう(^_-)-☆
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