坐薬や浣腸 排便後の血圧低下の理由 排便ショックの症状や対処方法 予防方法はあるの?

症状に対する対策

 便秘時や前処置として坐薬や浣腸を行うことがありますよね(#^.^#) まれですが、排便時に血圧低下を起こしたりすることもあります((+_+)) 坐薬や浣腸をしなくても、排便時の血圧低下や排便ショックと呼ばれる状態になることがあります。
看護師は、患者さんの安全安楽を考えたケアを行わなくてはいけません!!よね(#^.^#)

そこで、今回は、排便に伴う血圧低下の理由、症状、対応等についてまとめてみました。良ければ、参考にしてください(*^▽^*)

排便時に血圧低下が起こる原因

排便後に起こる血圧低下や失神等が起こる原因として、
循環器学会のガイドラインでは2つ挙げられています。

ひとつめの理由は、
腸管の機械受容器を介した迷走神経反射です。

言葉が難しいですよね(;´∀`)

機械受容器を介したというのは、
求心性の反応の事で、(これも難しいかも)
末梢から中枢に向かって伝わることをいいます。

ここでは、
腸から脳に向かって伝わる神経伝導の事です。

つまり、言い換えると、
腸から脳に向かって伝わる神経伝導による迷走神経反射という事になります。

これだけでは、まだ分かりませんよね。。

ここで、
排便のメカニズムを確認しておきましょう。

途中で、腸から脳に向かっての神経伝導があります。赤のアンダーライン引いておきます。お見逃しなく(#^.^#)!

直腸内に便が溜まり直腸内圧が上昇する
直腸「排便する時だ!」と感じる
直腸から延髄に信号が伝わる(求心性)
脳「直腸から連絡が来た!便意を起こせ」
便意を起こす
=交感神経が緩み副交感神経を興奮させる
つまり、腸からの神経伝導の結果、脳が副交感神経が興奮させて排便に至ることが何となく分かりますね(#^.^#)

 

ここで、
「副交感神経」という言葉が出てきました。
脳神経の中の「第Ⅹ脳神経」であり、別名「迷走神経」と言います。(#^.^#)また、大事なワードが出てきましたね。

迷走神経は、
簡単に説明すると、延髄から出ていて、頸部、胸部、腹部など広範囲の臓器を支配しています。運動、知覚、副交感神経を含む混合神経です。

心臓も支配下にあります。
腸が支配下にあるのは、先に伝えましたね(#^.^#)

副交感神経が興奮すると、
・腸では、
蠕動運動の促進、肛門括約筋の弛緩
・心臓では、
心拍出量が減り心拍数が減少
⇒血圧低下

という反応が起きます。

やっと!!全てがつながりましたね(#^.^#)

この迷走神経反射が過剰に起こってしまうことで、血圧の異常な低下がおきます

 

 

次に、ふたつめの理由です。
排便時のいきみによる静脈還流の減少が起こるからです。

これは、比較的簡単です!!

「いきむ」という行為は、腹筋群・横隔膜を用いて腹圧を上昇させるということです。皆様も、「うーーんっ」と、しているところを想像してください(*^▽^*) お腹に力が入りますよね。

腹圧が上昇すると腹腔内静脈が圧迫されて、心臓に戻る静脈還流が減少します。その結果、血圧が低下します。心臓より下部の部分が、循環血液量の約70%を占めています。そんなに大量の血流が心臓より下に流れているんだ!と考えると、なるほどー!!となりませんか?(#^.^#)

 

 

また、これは、ガイドラインにありませんでしたが、

臥位より座位の方が血圧は低下します。
「下肢に血液が集まる」「足の関節を曲げているので、血流が悪くなっている」事が原因です。

排便ショックとは

前項目で述べた血圧低下の機序が進行することを言います。
脈拍減少、血圧低下が進行すると、脳血流量が減少して失神を起こすこともあります。
この状態がショック状態と同様である事から、「排便ショック」と呼ばれています。俗語の様なものです。

排便ショックの症状

冷や汗、吐き気、嘔吐、あくび、顔面蒼白、脈拍減少、血圧低下、意識レベル低下(ぼーっとする事から始まります)、失神等です。

※普通のショック状態の時と同じです。

排便後の血圧低下に対する応急処置

仰臥位(血圧低下により嘔吐する方もいるので、顔は横を向けておくと良い)
にしてから、下肢挙上
します。これだけで、大体の方は元にもどります。頭は水平にしてくださいね。頭への血流が重要です。

この時、橈骨動脈の触知をしてください。弱くなっていたり、脈拍が遅くなっている事が確認できるかもしれません。

また、頭部打撲しない様保護する事を忘れないでください。脳出血などは、最悪なインシデントとなります。その次に最悪なインシデントは、骨折です!!

 

しかしながら、、、トイレで仰臥位にするのも。。(;´∀`)って思いますよね。

ひとつの方法ですが、
便座の上で下肢を挙上して、上半身を便座の上で倒します。(支えは必要ですよ!)何となく仰臥位に近い形にします。これだけで、元の状態に戻る方もいます。

 

もし、トイレに自分しかいなかった場合は、
まず頭部打撲しないよう保護をしながらナースコールや大きな声で応援を求めましょう。

応援を求められた場合は、
出来れば他の応援者にも応援を頼んで、ストレッチャーを準備します。ストレッチャーが入らない場合は、車いすお準備して、すぐに移乗→下肢挙上しましょう。その後バイタルサインズの確認を行ってくださいね。

ほぼ一時的な症状で治まりますが、心疾患がある方などは、重篤な状態の引き金になることもあります。
受け持ちの患者さんの既往歴など、しっかり確認する癖をつけるといいですね(#^.^#)

排便ショックを起こさないための予防方法

そんなに高頻度には起きませんが、起きる時には起きます!!
確実な予防方法ではありませんが、やらないよりはやった方が起きる頻度は減ると思います。

・腹圧のかけすぎに注意する

・一気に多量の排便をしなくていいように日頃から排便コントロールを行う

・「循環動態が悪い」「普段は臥床している事が多い」患者の場合は、
⓵下肢弾包を巻いてから、静脈還流を確保した状態で排便する
⓶ベッド上での排泄を考慮する
 等の対処をする

というような対策があります。

終わりに

私も看護師経験20年以上の中で、排便による血圧低下と意識レベル低下には、年に1回あるかないか程度で遭遇します。初めての時は、緊張しましたが、しっかり対処が分かっていれば、大丈夫です(#^.^#) 毎回、緊張はしますけどね(;´∀`)
遭遇しない事を祈りますが、大体の看護師さんは経験している道なんじゃないかなーと思います。
起こる原因と、その対処が分かっていれば、怖くありません!一緒に頑張りましょう(^_-)-☆

この記事を書いた人
桜樹

看護師歴22年超えの、クリスマスとお花見が大好きなシングルマザーナースです(#^.^#) ユニット以外は、大体経験しました(#^.^#) 笑いあり涙あり!!看護師ってやっぱり楽しいです(*^▽^*) 新人さんは不安の塊ですよね('ω') ちょっと困った時に、このサイトをみて、ほっとしたり「なるほど!」と思えるように頑張りたいと思っています。看護師道!!一緒に楽しく歩きましょう( *´艸`)

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